改修工事を経て6月に再開した「森岳(もりたけ)温泉カッパの足湯」(秋田県三種町)のデザインをめぐり、賛否が交錯している。新デザインは「恋人の聖地」をコンセプトにしたハート形。起爆剤になればという期待に対し、地元の歴史にそぐわないという声も上がる。郷土の衰退を止めたいという議論にネット上でも注目が集まっている。
三種町観光協会によると、カッパの足湯は15年ほど前に建てられた。当時の協会長を兼ねていた地元ホテルの社長が、森岳温泉郷を盛り上げようとつくった無料施設だ。改修前は、木板などで四方を囲んだ小屋の中に足湯おけと椅子が置かれ、正面に「森岳温泉」の看板が掲げられただけの質素なつくりだった。
老朽化が目立ち、見かねた協会が6月、地元の商工会青年部の有志に改修工事を依頼した。年々衰退する温泉街に変化をもたらしたいという思いもあった。改修後は入り口側の壁を取り払って開放的な印象に様変わり。「恋人の聖地」をコンセプトに、内装はピンクや水色に塗った壁に大きくハートマークがあしらわれた。
拡大する改修前の「森岳温泉カッパの足湯」=秋田県三種町森岳、三浦基英さん提供
このデザインに対し、「きれいになったのはありがたいが、あの色やハートじゃなくてもよかったと思う。本当に森岳温泉のためになっているデザインなのかと言いたい」と話すのは、地元で食品会社を営む近藤大樹さん(39)。カップルを意識してハートを掲げた新デザインは「入る人を選んでしまう」と懸念する。
反対意見について観光協会の関係者に伝えたところ、「少ない予算の中で頑張って作ってくれたんだから」と、自由に議論しづらい空気を感じたと近藤さんは言う。限られた予算内での改修工事だったことには理解を示すが、違和感をぬぐえない。「コンセプトに無理がある。一瞬のインパクトだけを狙ったデザインは逆に森岳温泉のブランドイメージを下げることになるのでは」
近藤さんは7月末、「カッパの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル